自分に兄弟がいる事を、いきなり知った場合

こんにちは、司法書士の飯島です。

今日は、実際に相談をお受けしたケースについて、お話しします。

 

【相談内容】

お母さんが亡くなったので、相続の手続きをしようと思って戸籍を集めたら、

「お母さんに、再婚前の子供がいた」

全く知らない相手だし、お付き合いも無いので、自分の家族だけで、相続手続きをしたい。

 

【回答】

難しいです・・・。

 

 

 

上記のケース以外でも、似たようなご相談は、数多く、お受けしています。

再婚される場合、再婚前の家族について話しをされない方が、結構多いのかなという印象があります。

昔は、今のように、連絡手段も無いので、なかなか連絡も取りずらいですしね。

 

被相続人(亡くなられた方)が、遺言書を作っておられない場合、

相続手続きをするためには、遺産分割協議が必要です。

しかも、「法定相続人は全員参加」

もちろん、協議と言っても、全員が一同に集まる必要は無くて、

「実印と印鑑証明書」

をもらえればいいです。

 

が、「知られずに」というのは、難しいです・・・。

 

 

では、「知られずにする方法」って、何かあるんでしょうか?

先ず、考えられる方法として、

「遺言」があります。

 

遺言は、生きておられる間に、自分で財産の行き先を決めておくことです。

「自分が死亡したら、自分の財産を、誰にどのように引き継いでほしいか」

例えば、

A銀行の預貯金は、長男。

B銀行の預貯金は、長女。

 

遺言は、ご自身が亡くなった後に実行されるものなので、確実に実行してくれる人を決めておく方がいいです。

「遺言執行人」ですね。

 

しかし

これで、知られずに手続きできるかというと、

やっぱり無理なんです。

 

「遺言執行人」は、法律上の相続人全員に、

「今から、遺言の手続きに入りま~す」

と、通知を出さなければなりません。

 

例え、相続分の無い相手でも、通知を出さなければならないとされています。

 

でも、遺言書があると、

「遺産分割協議をしなくてもいいです」

 

 

よ~く考えて見ると、

全然知らない相続人がいる場合

「遺産分割に協力して下さい」

とお願いするのと

「遺言書のとおりに手続きしま~す」

と通知するのとでは、

心理的な負担が、全然、違うと思いませんか?

 

【結論】

いくら疎遠な方でも、法律上の相続人に知らせずに、相続手続きを進める事はできません。

しかし、遺言書を書いておくと、遺言書の通りに進める事ができるので、

相続人さんの負担は減らす事ができます。

 

*ただし、遺言書の内容によっては、「争いを招く」事になってしまうので、

「広い視野」を持って、内容を決める必要があります。