警察から、「遺体を引き取ってほしい」という連絡があった場合

ここ最近、「増えたな~」っていう相談があります。

 

「警察から電話がかかってきて、遺体の引き取りをしたのですが・・・。」

 

例えば、

・小さい頃に、両親が離婚し、ずっと会っていない父親

とか

・付き合いのなかった従妹

とか。

 

そういった方が、自宅で孤独死をされておられ、その遺体の引き取りを

依頼された

という状況です。

 

取り敢えず、遺体を引き取られて、葬儀とかをなさった後、

「はて、これからどうしたらいいのか」

という状況です。

 

法的な手続きを考える場合、先ずは、

お亡くなりになられた方と、遺体を引き取られた方が、どういった関係なのか。

から考えていきます。

 

遺体を引き取られた方が、「相続人」なのか、「相続人ではない」のか。

(実は、相続人ではないというパターンも、結構、あったりします。)

 

パターン1:相続人の場合

「相続する」か「相続しないか」

法律上は、ご本人の死亡と同時に、相続人が相続している状態です。

もし、「放棄したい」のであれば、3か月以内に、家庭裁判所で「相続放棄」の手続きをしなければなりません。

「相続する」のであれば、法律上の相続人全員で、遺産分割協議をして、財産を分割していきます。

 

この「相続」ですが、

+の財産だけでなく、-の財産(借金)も相続しなければなりません。

ただ、ご本人とお付き合いが無かったわけですから、財産がどれくらいあるのかなんて、全然分かりません。

ましてや、借金があるかどうかなんて、本当に分かりません・・・。

警察から、ご遺体と一緒に、「通帳など」の所持品も預かるようになるのですが、

それだけでは、相続財産は把握できません。

「放棄」か「相続」か、判断が難しいところです。

 

パターン2:相続人でない場合

遺体を引き取られた時に、通帳も預かっていれば、法定相続人に通帳を返すという事を検討します。

(実際には、相続人がいないので、相続人でない方に連絡がくるケースが多いですが)

 

そこで、検討するのが、「立て替えたお金を、返したもらえないのかしら」という事です。

預かられた通帳に、預金があれば、そこから立て替えた費用は清算したいですよね。

相続人では無いので、通帳を解約する事ができませんし、法律上の相続人がいなければ、

通帳を解約する人もいないという事になります。

この場合には、家庭裁判所に「相続財産管理人の選任」の申立てをして、管理人から、立て替えてお金を

返してもらう手続きをします。

 

ちょっと、ややこしいので、簡単に説明すると

●預貯金の解約は、相続人じゃないとできない

   ↓

●相続人がいない場合は、だれも解約できない

   ↓

●家庭裁判所に、「相続財産管理人」という人を選んでもらって、

その人に、預貯金の解約をしてもらう

   ↓

●葬儀費用などを立替えた方は、裁判所に「私、債権者です」と伝えて、

相続財産管理人から、立て替えたお金を返してもらう。

 

ざっくり言うと、こんな感じです(笑)

 

お付き合いの無かった方の遺体を引き取った場合、法的な手続きとしては

●相続する

●相続放棄する

●相続財産管理人を選任する

が一般的な選択肢になります。